伊藤潤「国を蹴った男」

*以下ネタばれ注意
表題作が戦国のファンタジスタの話だと聞いて。
てっきり云万石やるから味方になれ?だが断る!てした人の話だと思っていたぜ……。
と、いうわけで読了です。
着眼点がいいというか、あまり目立たない人がメインになっているのが楽しい。
よく知られている出来事の裏でこんなことがあったかもしれない……、と思うと非常に面白かったです。
この人の有名どころをメインにした話も読んでみたいなー。
信長様とかどんな切り口で書くんだろう。

『牢人大将』
メイン二人がですね……格好いいんですわ。
二人だけでなく牢人達の生き様が格好いい。
忠義とかのためじゃなく、食い扶持のために戦っているんだ、と言い切るシーンが好きです。
そんな牢人に報いようとする信玄公も格好良かったです。これは仕えたくなる。
個人的には信実さんがいいお気に入りです。
てっきり家臣おいて一人だけ逃げるタイプかと思えば逆に死地に残っているんだもんなー。
そしてあの盛大なデレである。
牢人衆に対して嫌がらせしてくるのかと思えば、そこでそういう反応するのかー。
もっと早くに和解してろよお前ら!!

『戦は算術に候』
中納言様と金吾さんのクズっぷりが光る一遍。
特に金吾さん。わー、これは酷い。こんなに可愛げのない苛立ちしか感じない金吾さん久々にみたわー。下衆だわー。
本当に血縁に碌なのいないね!?
秀長様が全部いいところ取っていったのだろうか……。
こういう理由で関ヶ原が一日で終わっちゃったんだとしたらやりきれないなぁ。これは酷い(二回目)
でもこの金吾さんなら、お金全部金でもらっていたとしても何だかんだ言い訳して裏切りそう。これは酷い(三回目)
長束さん(道具)は使い方次第て秀吉さんは言っていましたが、そういう機微に一番疎そうな三成さんに何故任せてしまったのか。三成さんこそ誰かがうまく使ってやることで光るタイプだと思うなー。
秀吉さんが結局のところ信長様の配下である描写が好きです。
天下統一しても、秀吉さんにとっての殿は信長様なんだなぁ。
頑張って天下簒奪した言い訳考えるといいよ!!(ニヤニヤ)

『短慮なり名左衛門』
兼続さんが腹黒い話。
つまり、名左衛門さんが、直江さんと山崎さんにどういうことだよ!!て直接文句言っていたら何も問題なかったってことですね!!
調べたら二人が出し惜しみしていたかどうかって分からんかったんかなー。
あと、当時の兼続さんが信用に値する人物だったのかどうか。
個人的には、最後の景勝様と兼続さんの会話が好きです。
「信じろと申すのだな」ていう一言で何もかもひっくるめて信じる事にしたんだろうなーと。
上杉主従のこの二人三脚感すごく好きです。好き。

『毒蛾の舞』
まつ様が腹黒い話。
分かってても惚れた女の願いを叶えたい佐久間さんが可哀想だし、それ以上にまつ様の掌で踊らされてた佐久間さんの下についていた人達が哀れでだな……。
しかし、全会一致で評価が悪い利家さんに思わず笑ってしまった。
散々な言われようだが、まつ様をゲットしたという一点において他の将達より有能だったというわけですね解ります。
まつ様の手腕が鮮やか過ぎていっそ前田夫婦の性別逆だったらよかったんじゃないかと思うわ……。

『天に唾して』
お前ら本当は仲良いだろ、と思わずにいられない一遍。
嫌い嫌いも好きのうちというか、熱心なアンチと信者は紙一重というか。
もう河原で殴り合えよお前ら……て思いながら読んでいました。
秀吉はこうでないと、と思う宗二さんがツンデレ以外の何物にも見えなかった私悪くない。
地獄でまた仲良くいがみ合うといいよ。
さり気なくいい仕事する利休さんが好きです。やだ……ここにも狸がいる……。

『国を蹴った男』
今川さん他にましな息子おらんかったんか……。
氏真さんも国主であることが嫌なら誰かに譲ればよかったんじゃね?と思わずにいられません。
色々手続き面倒くさいかもしれないけれど、もう全部放り出して身一つで京都にでも行った方が、本人にも家臣にもよかったんじゃなかろうか。
もっとも、氏真さん生活能力なさそうだし、家臣がいないとなにも出来ない気もしますが。……蹴鞠と和歌だけで食べていくことって可能だったのかな、当時。
氏真さんの人間性に惚れこんじゃった五助さんですが、正直何がそんなに良かったのかよくわかりませんでした。
蹴鞠の能力に惚れこんだっていうならわかるんだけども。
生まれた時代が違えば家康や信長様は氏真さんの足元にも及ばないってそれは……さすがに……どうだろう。
いや、確かにひたすら鍛錬に精を出し、殺されるかもしれないという時まで毬を蹴っていたのはある種の悟り開いてるようにも見えたけども。
自分が政治に向いてないことちゃんと分かっていた所もポイント高かったですけど、分からないし興味ないしやりたくないから放置てお前。
そのせいで何人犠牲者が出たのだろうなぁ、と思うとどうにも腑に落ちません。
何だかんだそこまで暗君じゃなかった、て描き方されているならともかく、主君としては無能もいいところな描き方されてたしなぁ。人間性も色々放置していたの見る限り……(目を反らす)
五助さんはなんだ……惚れた男に命を懸けて幸せそうでしたね……?
職人としてはこれ以上ない主だったんだよなぁ……。
家康も信長もどうでもいい、言い切る五助さんがとても男前でした。
妻子の命も守れたし満足げなのが切ない。
宗兵衛さんなんとかごまかして助命してあげろください。
結論:氏真さんは現代に生まれてエースストライカーする傍ら詩集出したりするべきだった。
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